土と炎の芸術家 上ノ 大作 

   

    北海道の粘土を、薪の窯(穴窯)で六日間かけて焼き締めた、無釉の焼き物を制作
    し、粘土の持っているいろんな色を引き出だしている、上ノ大作さん。

    今回は、北広島市中ノ沢の自然に囲まれた中に3年かけて(夏の間徐々に)作った
    という上ノさんのアトリエ『小屋』に伺い、窯焚き(カマタキ)の様子もあわせて、
    上ノ大作さん自身についてお話を聞いてきました。

 
     
   

窯焚き レポート

   

    陶芸の醍醐味である窯焚きを一日だけですが、体験させていただきました。

 

    山の傾斜を掘り、石と土で上ノさんが作った穴窯(あながま)

    全長約6m 火が見える位置から約1m先に100作品ほどの陶器が約2mに渡り入っているそうです。

    分かりづらいですが、奥に見えるのが煙突。

    今回訪れた日は、窯焚き(かまたき)2、3日目で、徐々に窯の中を暖め陶器の水分を飛ばし、

    薪の炭を陶器につかせる工程を手伝わせていただきました。

   

    火を絶やさない様、薪をくべていくのですが、慣れていない人がやると一つの薪が燃え尽きる前に、火が

    弱まってしまい、無駄に薪を使いすぎてしまいます。

    夜中に2,3時間ほど一人で作業しているときは、心配で20分おきに火の様子を見に行ってましたが、

    上ノさんは1時間に一回ほど新しい薪をくべに行くだけですむ程度・・・。

    無駄に貴重な薪を使ってしまいました。

 

     

   窯焚き後半には、小さくした薪を窯の中に入れていくので、薪割りも大切な仕事。

   上ノさんに手本を見せてもらい、いざやって見ると斧が重く、狙ったところになかなかいかな状態。

   1時間ほど薪割りして、腕がパンパンに。もちろん筋肉痛になったのはいうまでもない。

 

   窯焚き(薪の窯 での焼き締めの場合)は、5〜6日は火を入れる。初めは徐々に窯の中を暖め、陶器の

   水分を飛ばし、薪の炭が陶器についていく。その後徐々に温度を上げ、薪の炭が灰となるそのときに陶器の

   色をつけてくれる。

   その後2日ほどゆっくり冷ます(急激に冷ますと、ひび割れてしまったり、色が変わってしまう)そうです。

  

   窯焚き5日目から薪を窯の中にくべていくのですが、火が窯の中一面を覆い、煙突から火柱が
   上がるそうです。

   そのときは火力(約1,300℃)を下げない為に、窯の前に付きっ切りで薪をくべていかなければ
   ならないそうです。

 

   この穴窯を作って最初の頃は、満足のいく焼き物は1、2割程度だったそうです。

   今では、10割といかないまでも、思い描いた「薪ででる色んな色」をだせるようになって
   きているそうだ。

        

          

 

 左:上ノ大作さん 右:GALLRYCuCa担当者

    

  

3年かけて徐々に作ったアトリエ『小屋』 

ここは、冬になると雪で閉ざされてしまうので、夏場にだけ、このアトリエ(電気・水道・ガスなし)で制作活動をしている。

    

   

   

アトリエ『小屋』内部 奥(入り口)が作業場

夜はロウソクと、懐中電灯を明かりとして作業をしている。

   

   

   

作業場

中央にある丸い椅子の様な形のものが『ロクロ』

下の部分を足で蹴って廻し、粘土を引き上げながら器の形を作っていく。

    

  

        

制作中の作品

粘土をひも状にして、積み上げながら作成(手びねり)。ビニールがかけてあるのは、乾燥を防ぐ為乾いてしまうと、上に粘土を積み上げにくくなってしまう。

 

 

 

 

 

 

 上ノ 大作 さん インタビュー

 

Q:どこ生まれ、どこ育ちですか?

A:札幌生まれ、札幌育ち

 

Q:どんな子供でしたか?

A:えんぴつでトーテンポールを作る子供。刃物と火が好きで、焚き火をしたいが為に、ボーイスカウトに入隊していた。今、薪窯で焼くのも、昔から焚き火が好きだからというところもあるかもね。

 

一言でいうと、ショボイ子。
スポーツ万能でもなく勉強そこそこの

 

Q:アーティストとして活動するきっかけは?

自然とそういう風になってたかなぁ。

 

Q:では、陶芸を選んだきっかけは?

 

子供の頃から物を作るのが好きで、物作りといえば工業系と思って、工業高校に入学して、学校で木だったり金属を使って、クラフト的な作品を 作ってたんだよね。

その流れで、金属の彫刻を作る会社に入社したけど、金属以外の素材をいじりたくなって、静かでやわらかい陶芸を習い始めたのがきっかけかなぁ。

 

Q:影響を受けているアーティストはいますか?

円空(仏像)、砂澤ビッキ(木彫)

作品を作り続けた生きざまが好き。

高田渡(フォーク歌手)

この人は、歌う吟遊詩人といわれているんだけど、とにかく生きざまが好き。

 

Q:今のスタイルになったのは、いつ頃ですか?

去年からかな〜

それまでは、窯焚きでCO2を出して、環境破壊している背徳感から食器などの機能的、存在意義のあるものしか作らなっかったんだよね

  

でも、オブジェ的な見るだけの作品も、癒されたり、嫌悪感を抱かせたりすることも、存在意義があると思えてきたんだ。

自分としては、食器を作ることも、オブジェを作ることも、色んな事から解放されてきて、自由に作れるようになってきたのかな〜

Q:どんな時に作品イメージが生まれますか?

精神状態が高い時と低いときでも主に低いとき

 

Q:作品制作時の醍醐味、苦労を教えてください

醍醐味は、作品が焼きあがった、窯出しの時かな。

思っていた色が出せたり、それ以上のものが出来たときはうれいよね。

苦労は、薪割りとか、窯焚きの時の作業だね。

窯焚きが終盤になってくると、もうやりたくないと毎回思うね。

けど、火を消した時は、さびしくなるんだよね。

 

Q:今後、やってみたい事はありますか?

大きいもの作ってみたいね。人が中に入れるぐらいの。

その作品を窯に入れるんじゃなく、その周りに窯を組んで、焼

てみたいね。

 

Q:最近、気になるアーティストはいますか?

男鎌田 真吾(歌あり、踊りありのパフォーマー)

歌が上手で、踊りに切れがあって完成度が高いパフォーマー。

素敵にキモイ

 

Q:最後に、上ノさんにとってアートとは?

じゃぁ、生きざまってことで

   

   

  

    

  上ノさんは自分のことを、陶芸家でもアーティストでもなく、「やきものや」だといっている。

  しかし、私(GALLERY CuCa担当者)は上ノさんのことを「陶芸家であり、アーティスト」
  だと思っている。

    

  上ノさんの様に自分で荒野を切り開き、自分の思い描く色を出す為に、自分だけの窯を作り、6日間    夜通し火と向き合う上ノさんを「陶芸家」と云わずして、どんな人を陶芸家と云うのだろう。

    

  情緒を粘土で創作していく「さま」を「アーティスト」だと私は感じた。

   

  ぜひ、「陶芸家・アーティスト 上ノ 大作」の作品を実際に見に行ってほしい。

(取材 2007/07 /07,08)   
     
   
 
 
 
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